研究最終年度である平成22年度は、前年度に収集した基礎資料の分析検討を行うとともに、国内及びフランスでの継続的な情報収集により、引き続き最新の状況の把握に努めた。2011年3月にフランスに渡航して行った現地調査では、フランス保健省の文献資料センターやクジャス図書館等において関係資料の収集を行い、例えば、本研究課題の主要考察対象の1つであるCMUに関して、2000年の実施から10年を迎えての現況及び評価等について、国立高等社会保障学校(Ecole nationale superieur de la securite sociale)の「Regards」誌や、パリ政治学院の保健法講座が刊行している「Les tribunes de la sante」誌、あるいは「La semaine juridique」誌の社会法編等に収載された論稿等を閲覧・収集した。本研究課題の分析視角に関わる社会扶助法の分析・検討については、2011年に入り、エリ・アルファンダリ教授の『社会活動・社会扶助〔第5版〕』が、1989年の第4版以来、フロランス・トゥレット准教授の助力を得て久々に改版されたほか、ジャン=ピエール・ショシャール教授の『社会保障法〔第5版〕』も出版されたところであり、これらの叙述も踏まえて考察を進めた。 本研究の成果の一部は、平成21年2月の日仏法学会での総会報告を基にしてその後の動向を踏まえて論稿の形にまとめた「フランス医療保障法の現状と課題」(日仏法学26号)に結実したほか、平成22年10月の日本社会保障法学会第58回秋季大会における共通テーマ・シンポジウム「医療制度改革の到達点と今後の課題」での報告「医療保険の給付」及びそれを基にした論稿(社会保障法26号)にも反映されている。
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