研究の二年目として、年齢差別研究の第一人者ともいえるEglit教授(ケントカレッジ法科大学院)と、雇用差別禁止法のケースブックを執筆しているZimmer教授(ロヨラ大学)へ、それぞれインタヴューすることができた。さらに、企業の人事労務管理からみた年齢差別禁止法について、使用者側代理人として長年の経験を有しているHarris弁護士(ハワイ州)から、現場の見解を伺った。また、昨年度に引き続き、研究に関わる各種文献を収集することができた。 研究の発表については、途中からの在外研究のため、関連する分野の論説一本となった。年齢差別と同様に、アメリカで差別規制の是非について争われながらも制定法となった遺伝子差別についての研究を「名城法学」へ掲載した。年齢差別は、ときに将来へ向けての差別と言われるように、遺伝子を理由とする差別も、将来に起こりうる可能性を理由とする差別である。かかる観点からも、両差別類型の比較検討は意義を有するものと考えている。 本年度の半ばから、アメリカで在外研究に従事することになり、当初の計画にあったイギリスでの調査は困難となった。来年度は、アメリカでの法と実態の研究に集中することにしたい。
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