平成23年度は、昨年度まで実施してきた(1)わが国における問題行動の見られる少年・児童に対する処遇・支援の重要性とその方法の明確化(かかる少年・児童に対する処遇・支援を少年非行対策として導入する上での必要性の部分)および(2)処遇・支援の法的限界界の明確化(同妥当性の部分)に関する検討の精緻化を図り、とりまとめを行った。 その研究実施方法として、(1)必要性の検討については、国内外の文献および処遇・支援の補充的な実態調査(関東地区の神奈川県)を通じてデータを補完的に収集した上で、かかるデータの分析、検討を図った。また、(2)妥当性の検討についても、国内外の文献を通じて検討課題を補完的に収集した上で、かかる検討課題を考察した。そして、最終年度として、3年間で得られた研究結果を基に、研究課題に関する総括を行った。 本年度においては、問題行動の見られる少年・児童に対する処遇・支援の法的限界を考慮しながら、多様な行政機関の適正かつ有効な連携による処遇・支援の実現可能な具体的方法を吟味した。一つの方法として、問題行動の見られる少年・児童に対応する児童相談所・警察・学校等の行政機関間の「非行対応機関ネットワーク」の構築を挙げることができる。本ネットワークは児童福祉法上の「要保護児童対策地域協議会」をも基盤にし得るものと構想している。また、少年法等の既存の法的枠組みを前提として、司法機関(家庭裁判所)を中心とした多機関連携の実現可能性についても考察を加えた(試験観察・審判に際しての連携、援助依頼の活用など)。 本年度は、下記の形で本研究成果の一部について研究会報告を行った。 小西暁和「児童相談所を起点とした機関連携」第26回早稲田大学社会安全攻策研究所定例研究会(平成24年2月4日開催) また、次年度以降には、大学紀要の『早稲田法学』等において本研究成果を順次、発表していく予定である。
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