本研究は,インフォーマルな共同体・ネットワークが商取引において果たす役割を解明し,それを前提とした上での商取引をめぐる法制度設計のあり方を実証的に分析するものである。すなわち,メンバー相互間の取引関係のみならず,その組織ガバナンス,外部者との間の取引関係がどのようなメカニズムに基づいて形成されているかを解明し,なぜ取引当事者が共同体・ネットワークを利用するのかを,理論的な分析のみならず,実証分析をも併用することによって解明することを試みることを目的としている。 本年度は,理論的な分析フレームワークの構築と方法論のブラッシュアップをはかるために,法学者・経済学者による「法の経済分析ワークショップ」に参加し,さまざまな理論モデルの探索や実証研究手法のブラッシュ・アップをはかった。 そのような研究成果のうち,論文として公表されたものが,後掲の研究業績「ATE on Untreated」「民法教科書総選挙」「法律家のための実証分析入門」である。さらに,国際的な学会における研究成果の公表も進めた。"Measuring radiation contamination damages of Fukushima accident"を米国ノースウエスタン大学でで,"Measuring the effect of consumer regulation change: a case of university enrollment fee in Japan"を学習院大学および東北大学の国際ワークショップで,"Rescuing Victims and Rescuing TEPCO: A Legal and Political Analysis of the TEPCO Bailout"を上海交通大学での東アジア法と社会学会第3回国際大会にて報告した。
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