グループ内取引を決定・遂行した取締役の責任の判断基準を検討するに際しては、(A)グループ構成会社の利害関係者の保護の要請と(B)グループ全体の利益を追求する実務上の要請との調整が問題となる。フランスの判例法理は、(1)個別の取引につき厳密な条件の公正性を要求せず、グループ政策に着目して取締役の責任の有無を判断することで前記(B)に配慮する点、および、(2)グループ政策・グループ内取引に対する監督の充実度、会社の財務能力、および当事者間の関係を審査することで前記(A)に配慮する点で日本法の参考となる。
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