本年度は、九州各県の主要な地方銀行及び信用金庫に対して、ディスクロージャー紙・ホームページ・ヒアリングを元に調査を行った。その結果、資産流動化は活用されていないこと、集合動産譲渡担保が特に畜産・漁業において積極的に利用されていることが明らかになった。 また、各金融機関は、金融庁と共に地域密着型金融(リレーションシップバンキング)を推進する中で、モニタリング・カウンセリングの重視、資金需要者のニーズの吸い上げ、国外まで視野に入れたビジネスマッチング、後継者対策としてのM&Aを軸として、「地域の面的再生」を意識しており、さらに、地域のまとめ役・旗振り役として、行政同様の機能を果たすことが地域金融機関の使命であると認識し、本来あるべき地域金融機関という視点を強く持っていることが明らかになった。もっとも、地方銀行と信用金庫では、本来の趣旨及び業務内容から、アプローチや手法に若干の違いが見られた。 本年度の後半には、金融庁が主催した各地のシンポジウムに参加し、上記の点を実際に確認することができた。しかし、シンポジウム報告やコメントにおいて、担保に触れるものはほとんど無かった。理由としては養殖魚などを担保として融資する場合は出荷サイクル(2~3年)に合わせざるを得ないため担保としてもあまり機能し得ないこと、地域密着型金融においては信用貸出で十分であること、が考えられる。
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