研究課題
当年度の研究では錯誤規定のあり方に関する比較法的研究を通じ、相手方の信頼保護という要請が、消費者法においては事業者に(情報提供義務など)行為義務を課す形で目的逹成されていることが確認された。とりわけこの点に開するブラジハ法の特質は、「広告的申込み」を通じて、みの相手方の信頼保護という要請に関し、単に同意の瑕疵を治癒するにとどまらず、錯誤や詐欺がない場合でも、不誠実な取引行為を行う事業者に対して、同様に一律の債務不履行責任を負わせる点にある。例えば、消費者を欺く等の目的ではなく、サイトの広告収入を期待して、通信販売のサイトで不在の商品広告を掲載するような事業者に対しても同一の法的効果を生じさせている。つまり、事業者の取引行為はかなり広義に捉えられており、社会が要請する一定の行動義務を前提に、それに違反する場合のサンクションとして債務不履行責任を負い、消費者の選択によっては「契約解消」を受け入れなければならない。なお、わが国の民法改正案との関係では、消費者契約法から取り込まれた「不実表示」による取消しにつき、本研究からの結論によれば、消費者契約法上はブラジル法と同様のサンクションとしての契約解消であり、民法改正案上は原状回復的賠償に代わる契約解消であると考えられる,以上の契約解消に関する性質上の違いから、賠償の範囲についても、前者は履行利益まで及ぶと考えることが可能であるのに対し、後者は原則として信頼利益の賠償に止まるものと考えられる。
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Revista Juridica (de la Facultad de Derecho de la Universidad Nacional de Mar del Plata, Argentina) 4巻(Forthcoming)
Keio Law Review 11巻(Forthcoming)
Les travaux des Journees Colombiennes tome LVII, annee 2007 : Le consommateur Tome LVII annee 2007(Forthcoming)