本研究は、本来は物権的な「形式権」として構築されてきた知的財産権が、さまざまな点で不法行為的な「実質権」へと変容を見せている現状(知的財産法制の「実質化」傾向)を分析し、主に「法と経済学」の手法を用いつつ、知的財産法制の望ましい姿を探求するものである。 本研究では、一見すると何ら関連がないように見える喫緊の諸課題((1)特許権の均等侵害論、(2)著作権の侵害主体拡張論(間接侵害論)、(3)特許権の差止請求制限論、(4)著作権のフェアユース規定導入論など)を、「実質化」という一貫した視点から横断的・包括的に検討対象とし、それら諸課題の整合的解決策(解釈論・立法論)を提言した。
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