本研究では、いわゆるプロボノ活動の在り方につき、米国、英国との比較検討を行った。聞き取り調査からは、日本の弁護士の伝統的な形態である「取れるところから収入を得て、これを公益活動で還元する」という公益活動の在り方が現在においても主流であることが明らかになった。一方、米国の弁護士の公益活動の形態として、大手法律事務所が公益業務担当弁護士を擁し、所属弁護士全員分の公益業務を担うというモデルがあることも明らかになった。現時点の結論としては、日本の弁護士もまた、米国、英国の弁護士と同様、公益性を内在しており、したがって公益活動はその職務の本質的部分と結びついているものであるものの、これを実践するための制度的枠組みが必ずしも十分とは言えず、弁護士会単位ではない、事務所主導の公益活動をより活発に行うべきと考えている。
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