研究概要 |
本研究は、シンガポールを中心とするアジア各国における移民政策の展開を比較分析し、評価することを試みている。本研究の初年度は、文献収集および分析概念の検討・フィードバックを主な作業とした。 基本資料の収集としては、調査事例であるシンガポールの移民問題やエスニック問題等を中心に、全体の7割程度の資料を集めることができた。また、新型インフルエンザの影響などで現地での予備調査の延期を余儀なくされたが、現地の専門家(シンガポール国立大学アジア研究所の研究者ほか多数)と、国内外の学会やシンポジウムにおいて、意見・情報交換や研究打ち合わせの機会をもつことができた。また、シンガポールの市民社会組織や公官庁への連絡を随時行っており、今後の研究の遂行準備を行っている。 また当該年度は、分析概念の精緻化を進めた。移民(migrants)といった基礎的な用語の使い方や認識などについて、国内外の状況を整理した。概念や用語法に関する共通土台を構築することは、他の専門家の研究協力や助言を必要とする本調査を継続するうえで、不可欠な作業であった。上の点についての討論やフィードバックは、以下の二つの論文と一つの学会報告を通じて行った。明石純一(2009)「『入管行政』から『移民政策』への転換」『日本比較政治学会年報』第11号。同(2010)「入国管理の『再編』とグローバルガバナンス」『国際日本研究』第2号。同,Discovery of Immigrants,香港社会学会、2009年12月5日。論文発表や学会報告では、各国研究者から多くの有意義なコメントを得ており、次年度の研究調査へと繋がる発展的作業となった。
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