研究概要 |
研究の最終年度であった23年度は、(1)日本、英国、仏国の情報通信政策の政策過程に関する分析、(2)日英仏比較研究と研究の取りまとめ、という2つを行った。 前者に関しては、各国の情報通信政策の政策過程について、(1)競争政策への政策転換、(2)ブロードバンド技術の登場、(3)次世代技術の台頭、という3つの段階に区分し、政府資料等をもとに分析を行った。そこでは、まず,学習主体となる認識共同体に関して、知識か同程度共有されているものの政策決定への関与の様態に大きな差異があることが確認された。また、その学習においては、旧技術が一種のロックイン効果を発揮し、同時に政策案の構築においても一定の影響を及ぼしたことが確認された。そして、政策学習過程においての共有された認識が政策帰結に多大な影響を与えたことか確認された。 後者に関しては、各国の情報通信政策の政策過程について、(1)規制の実施状況、(2)竸争促進の政策フレーム、(3)規制機関の位置付け、(4)規制機関と産業との関係、という点から比較検討を行った。そこでは.従来の規制枠組みが竸争促進型政策の内容に影響を及ぼし、同時に規制機関の制度位置づけが政策のモニタリング及びフィードバックに一定の影響を及ぼしたことが確認された。 これらの研究成果によって、本研究で目的としていた、(1)政策学習の構造および規定要因、(2)技術革新の学習の様態、といった点に関して、一定の知見が得られたことが確認された。そして、これらの成果は政策過程での新しい分析枠組みとして注目されていた政策学習の概念をより明確にするもめであり、本研究の重要な意義であることが指摘される。今後これらの研究成果を再度検討し、学内紀要、学術雑誌等に論文として投稿する予定である。
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