研究課題
本研究は、領域性の再編が政党モデルに及ぼす影響を検証するため、ヨーロッパの地域的バラエティーを考慮した事例を対象に、政党をマルチレベルな構造からなる組織モデル(ナショナル・リージョナル・ローカル+ヨーロッパの各レベル)と捉え、各レベル間のバランスに起きている変化を考察する。本年度は、計画2年目の作業として、領域性再編と政党政治の関係に関する理論的分析に関する文献をさらに調査した他、実証分析として領域性再編が政策的変化に現れる過程について政党政治との関係に注目した分析を行った。具体的には、移民ケア労働の導入や年金改革の比較において、イタリアでは経済的左右対立とは違って通常この争点では表面化しにくい領域性の亀裂が表面化し、与野党を横断した対立軸を形成したことが改革内容に反映したことを明らかにした。このような分析を通じて、実際ヨーロッパの政党が経験している「マルチレベル化」(分権化)と集権化の相克する多面的な構造変容を理解することを目指してきた。二年目の作業を通じて、全国レベルの政党システム構造は、単なる地域政党の浮上にとどまらない形で領域性再編の動きを受けた亀裂構造の変容を反映し、政策にも刻印を残していることが分かった。
すべて 2010
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Paper prepared for the delivery at the 17^<th> International Conference, Council for European Studies
ページ: 1-33