本研究は、領域性の再編が政党モデルに及ぼす影響を検証するため、ヨーロッパの地域的バラエティーを考慮した事例を対象に、政党をマルチレベルな構造からなる組織モデル(ナショナル・リージョナル・ローカル+ヨーロッパの各レベル)と捉え、各レベル間のバランスに起きている変化を考察した。具体的には、イタリアを中心としたヨーロッパ諸国を対象に、社会保障改革(年金改革・移民ケア労働者導入)をめぐる政党政治のマルチレベル化、政治的クライエンテリズムを軸とした利益媒介構造の変容、およびマルチレベルな選挙制度・執政制度と政党組織の変容の関係を、実証的政策資料調査・インタビュー調査を基に考察した結果、ヨーロッパの政党が経験している「マルチレベル化」(分権化)と集権化の相克する多面的な領域性再編の構造変容が析出した。
|