本研究課題は、政策評価・行政評価システムによって算出される行政活動の業績情報が、情報の受け手である市民にどのように受けとめられ、また業績情報に触れることにより政府や行政に対する認識にどのような影響を受けるのかについて検討を行うことを目的としている。 2年度目となる平成22年度は、業績情報が市民の行政活動に対する認識に与える影響に関する市民アンケート調査を実施すべく準備を進めたが、年度末の震災の影響などにより一部実施を延期・中止している。ただし、本研究に関連したテーマで他機関との共同研究を並行して実施することができているまた、信頼研究の第一人者であるGeert Bouckaert教授やTony Bovaird教授との意見交換により、調査へ向けた研究フレームの精緻化を行うことができた。とりわけ、近年の市民仕分人や市民判定人を導入している自治体の"事業仕分"については、評価プロセスにダイレクトに市民を参加させる手法としては世界的にも稀な取り組みであり、本研究のある意味の貴重性を確認することができたことは有意義であった。そのほか、既存研究の分析については、アメリカでは顧客満足度指標(American Customer Satisfaction Index)を援用した個別の実証研究などを確認でき、本研究のフレームワークの修正を行っている。これら今年度の研究活動の成果については、公共政策学会や日本政治学会年報などに業績を発表することができた。
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