本研究は、アメリカ大統領の立法活動が、概して議会の分極化の原因となっていることを、議員や大統領のミクロな行動と、マクロな制度・歴史のそれぞれについて、様々な分析手法を用いて論じるものである。 今年度は、本研究の中でも、1) 「大統領の立法活動と議会の点呼投票の関係に関する計量分析」・2) 「政党再編成論を軸としたマクロ歴史的な理論の検討」・3) 「クリントン政権の「第三の道」型改革の比較事例研究」に加え、当初の計画にはなかった、4) 「クリントン政権の立法活動と議会の立法生産性に関する計量分析」5) 「オバマ政権の立法活動と議会」の5つを中心に研究を行った。研究の結果、当初の予想どおり、「他の条件が同じならば」大統領の立法活動は議会を分極化させること・その傾向は年々強まっていること・大統領の活動手段やレトリックという「他の条件」によっては超党派的な多数派が形成されることの三点に加えて、以上の議論は2009年のオバマ政権と議会の関係にとくに合致することが明らかとなった。 以上の成果は、学会報告1件(日本政治学会)・研究会報告3件として公表された。学会報告は、一部を加筆修正した上で、上記1)・5)の一環として、平成22年6月に、図書(論文集)の一編として刊行される予定である。その他、1は『名城法学』に連載中の論文の後編として平成22年に、3)の一部および4)は、平成22年4月に行われる中西部政治学会(アメリカ合衆国・シカゴ)にて報告する予定である。
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