本研究は、アメリカ大統領の立法活動が、概して議会の分極化の原因となっていることを、議員や大統領のミクロな行動と、マクロな制度・歴史のそれぞれについて、様々な分析手法を用いて論じるものである。 今年度は、本研究の中でも、1)「大統領の立法活動と議会の点呼投票の関係に関する計量分析」・2)「クリントン政権の「第三の道」型改革の比較事例研究」・3)「点呼投票以外の数量データを用いたクリントン政権の立法活動の計量分析」に加え、当初の計画にはなかった、4)「分極化と大統領選挙」5)「オバマ政権の立法活動と議会」の5つを中心に研究を行った。研究の結果、当初の予想どおり、「他の条件が同じならば」大統領の立法活動は議会を分極化させること・その傾向は年々強まっていること・大統領の活動手段やレトリックという「他の条件」によっては超党派的な多数派が形成されることの三点に加えて、以上の議論は、オバマ政権と議会の関係にとくに合致することが明らかとなった。 本年度は、以上の成果を学会報告1件(Midwest Political Science Association)と論文3本として公表した。研究機関が終了した平成23年度に、以上の研究業績および未公表の研究を基に、単著の執筆作業を行い、平成24年の刊行を目指す。並行して、本研究の分析枠組によるオバマ政権の同時代的分析を、単独の論文として執筆・公表する。
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