本研究は、アメリカ大統領の立法活動が、20世紀後半以降進行している、議会における二大政党の分極化の原因となっていることを論じるものである。このことを実証するために、本研究は、議員および大統領の行動の計量分析や、クリントン政権期およびオバマ政権期の議会-大統領関係の事例研究といったミクロな分析、および、分極化の起源を辿るマクロ歴史分析を行った。分析の結果、(1)他の条件が同じならば大統領の立法活動は議会の党派性を強める効果をもつこと、(2)1960年代以降の様々な制度改革によって、その傾向は年々強まっていること、(3)大統領の活動の内容によっては、議会における超党派的な多数派形成が促されることが明らかとなった。
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