研究概要 |
本研究の最終年度である22年度は、研究成果の公開、わけても国際学会発表や一般公開に力を入れた。口頭発表については、研究実施計画より充実した成果を収めた。他方、論文その他の著作については、単著にまとめるほどの量に達していないので、引き続き成果公表に努めたい。今年度末には、研究対象国であるヨルダンを含めた、中東・アラブ諸国全体で大規模な社会変動が起きたことで、図らずも、本研究目的の「緩衝国家であるヨルダンの生存を可能とする政治メカニズム」の存在を立証することとなった。ヨルダン情勢の短期的な見通しについては、既に11で公表しているが、今後は、より長期的な視野に立った検証を続けたい。 1.学会発表 上半期は、世界中東学会大会(バルセロナ市)にパネル参加し、項目11.のとおり発表した(ペーパーあり)。内容は、研究実施計画のうち「ヨルダンのナショナル・アイデンティティ」に係る部分で、同国の上からのナショナリズム構築の状況を様々な角度から論じた。また下半期には、研究実施計画の全体に係る内容を、公開シンポジウムにて発表した(項目11.参照)。具体的には、平成23年1月以降のヨルダン政治・社会情勢について、一般参加者を交えて討論した。なお、当該年度には間に合わなかったものの、近日中に公開予定の研究実績は以下の通り。 (1)KIKKAWA Takuro"Jordan in International Relations : Security, Economy, and State Interests"日本中東学会年次大会、平成23年5月23日、京都大学※発表確定 (2)吉川卓郎「(仮題)ヨルダン社会とムスリム同胞団:変容する役割と方向性」(ペーパーあり)京都大学地域研究統合情報センター共同研究プロジェクト「中東地域における経済自由化と統治メカニズムの頑健性に関する比較研究」2011年度第1回研究会、京都大学東京オフィス、平成23年7月2日※発表確定 2.論文 項目11.のとおり。内容は、本研究の内容に沿って、直近のヨルダン情勢を分析したもの。なお、投稿済みで、当該年度の公開には間に合わなかったものとしては、以下のとおり。 (1)KIKKAWA Takuro"A Turbulent Decade between the Jordanian Government and the Muslim Brotherhood."Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies.Center for Islamic Area Studies at Kyoto University(KIAS)※投稿済み。現在、査読中。 (2)吉川卓郎「(仮題)なぜヨルダンの反政府運動は盛り上がらないのか?」『季刊アラブ』第137号(平成23年6月20日発行予定)※査読なし、掲載確定。
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