研究概要 |
まず脆弱国家論・平和構築論・一次産品(とりわけカカオと石油)・資源の呪いなどに関する文献・資料の収集に努めた。また、日本貿易振興会アジア経済研究所図書館にて、カカオに関する国際機関の統計データ(ICCO, Quarterly Bulletin of Cocoa StatisticsおよびFAO, Cocoa Statistics)を収集し、これに基づいたデータベースの作成を開始した。さらに石油に関する統計データについても不十分ながら収集を進めた。さらに学会やセミナー等に出席して、脆弱国家や一次産品に関する研究動向等を把握するとともに、国際経済論・国際関係論・国際開発論の研究者との間で、情報交換・意見交換・ディスカッションを行なった。 今年度はとりわけ、一次産品及び資源の呪いに関する研究に重点をおいた。第一に、カカオの国際的な需給動向とその変動要因について追究した。第二に、カカオの生産地のグローバルな伝播史と伝播要因について、カカオの生育条件をふまえつつ、把握を試みた。第三に、カカオにおける高品質革命の動向について、欧米を中心に精査した。同時にこれを支える生産地の動向についても把握するよう努めた。第四に、カカオ産地における政治的・経済的・社会的問題として、カカオ生産における児童労働問題と、カカオ売却による紛争資金源(戦費)問題を抽出し、この両者の構図とその現段階の把握に取り組んだ。第五に、資源の呪いとその解決法について、石油を事例としてサーベイを進め、概略的な解説を執筆した。
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