本研究は、フランス歴代政権が冷戦後、地中海地域に対していかなる外交理念・戦略・政策を形成・展開してきたのかを明らかにし、その多国間主義外交の理念・戦略の本質を解明することを目的としてきた。この過程で、とくに地中海地域における予防外交の進展、EU(欧州連合)を舞台とした国家主権をめぐる国際環境の変化、フランスの安全保障文化という側面に着目する必要性が明らかとなり、これらの観点からフランスの具体的な地中海での対外政策の展開とその背景事情の解明に努め、総合的にフランスの対地中海外交の特質の検討・総括作業を進めた。
|