本研究は、1960年代までに制度として成立した欧州共同体が、それ以降いかに自律性を確保し、域内の統治メカニズムをどのように機能させたのか、という点を歴史実証的に分析することを目的とするものである。本年度は、引き続き1960年代から70年代にかけての欧州統合の諸側面における自立性・自律性の展開に関する実証的な研究を進めるために、関連史料の収集と問題の検討をおこなった。 具体的には、フィレンツェの欧州連合歴史資料館における政治協力関連の文書、フランス、パリにある外務省文書館おより国立文書館、パリ近郊の現代史資料センター所蔵のフランスの欧州統合政策関係文書、ドイツの連邦文書館おより外務省文書館、オランダの国立文書館、ブリュッセルのEU委員会文書館等である。また並行して、欧州統合の政策執行メカニズムであるコミトロジーが70年代にどのように発展するのかについて研究報告を欧州大学院大学(EUI)でおこなった。成果は、次年度までには英語で発表される予定である。
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