本研究の初年度である平成21年度の前半は、レジーム間相互作用に関する文献の収集・講読を進めるとともに、先行研究の整理を行った。こうした作業を通して、先行研究において、レジーム間相互作用を促進するアクターの研究がほとんど見られない点を指摘したうえで、通常兵器問題の複数のレジーム間の相互作用を促進する活動を行うNGOに関する調査をすすめた。そうした結果をまとめる作業を行ってきたところ、まとまった分量になったため、まずはレジーム問相互作用と、その促進アクターとしてのNGOの活動に焦点を当てた研究成果を『レジーム間相互作用とグローバル・ガヴァナンスー通常兵器ガヴァナンスの発展と変容』として、単著にまとめ出版した。 そうした出版と並行して、さらなる研究も進めている。とりわけ、21年度におこなったのは、クラスター弾の禁止問題へ地雷問題の経験を援用したアクターの調査と、カナダにおける諸アクターの調査である。前者については、オスロに赴き(別予算から拠出)、ノルウェー防衛研究所やNGO(Norwegian People's Aid)などとのインタビューを行った。その成果の一部については、日本平和学会において研究報告を行った。また、後者については、オタワ、トロントに赴き、資料収集及びインタビューを実施した。そうした中で、レジーム間相互作用を促進するアクターとしての企業や、メディアの役割などについても、少しずつ実証研究も開始したところである。
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