研究概要 |
本研究の課題は、2004年4月以降のエコノミストによる消費者物価上昇率予測値を用いて、日本のエコノミストの予測に特徴的な性質を明らかにすることである。民主党に政権が交代してからは「デフレの解消」が強く叫ばれるようになったが、人々の将来に対する予想には各種の偏りが存在する事が知られているため、政策担当者が「人々の予想にはどの様な偏りが生じる傾向があるか」を知らずに政策決定をすると、思わぬ事態を招く恐れがある。よって、エコノミストの予測の性質を分析することには、政策上重要な意義がある。 平成21年度は本研究課題の初年度として、準備的な作業を中心に行った。まず、物価上昇率予測に関する先行研究を調査し、特に欧米諸国の研究成果を積極的に吸収した。次に、経済主体の戦略的行動が経済予測全般にどの様な影響を及ぼすかについて、Ashiya(2009)"Strategic Bias and Professional Affiliations of Macroeconomic Forecasters," J.of Forecasting, 28(2), March, pp.120-130をもとにさらなる検討を行った。さらに、物価上昇率予測以外の経済予測全般に関する実証分析を整理・検討して、有益な分析手法の開発に努めた。 分析作業面では、日本のエコノミスト約40名が毎月公表したCPIの四半期予測データを入手して、それらをデータベースの形に入力した。次年度以降は、このデータベースをもとに各種の分析を行い、エコノミストの予測の特徴を抽出する予定である。
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