企業レベルの不確実性が経済成長に与える役割について、そのポジティブな役割を追求する自らのワーキング・ペーパー("Uncertainty-driven Growth")を理論的により精緻化し、クオリティを高めた。この論文は本プロジェクトの基盤となるもので、次年度は当該論文における理論モデルを拡張することをプロジェクトの中心としているため、明確な土台が完成した意義は大きい。 また一方で、ファイナンスのデータで観察されていた企業レベルのボラティリティの景気変動に対する反応が日米で異なるという実証結果を、企業ごとの実質売上げのデータを用いて検証し、その傾向の頑健性を確認した上で、それを整合的に説明する理論モデルを構築した。具体的には、倒産コストの差がリスクに対する態度に変化を生み、各企業内における資源配分を異なる形で調整することが、上記の結果を生み出すという理論構造に基づいている。
|