全ての企業が直面するマクロ的なショックではなく、企業個別の不確実性が大きい場合、短期的にはネガティブな影響が出るものの、それらの不確実性に対処するための知識の蓄積が促されるために、長期的にはマクロの経済状態が改善されることを理論的に示し、かつ現実のデータとの整合性を、アメリカの企業レベルの産業別データを用いて実証した。また、景気循環と企業レベルの不確実性の関係について、日米のデータの比較を元に、相関関係の理論的背景を明らかにした。アメリカでは企業レベルの不確実性の尺度が景気変動と正相関していることが報告されているが、日本では、逆の結果が導かれることを指摘し、その二つの傾向を同時に説明しうる理論モデルを構築した。
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