研究概要 |
今年度は主流派の金融政策論、特にインフレーシヨン目標政策論と政策ルール論の批判的検討を行うための基礎となる作業を中心に行った。第一に、インフレーション目標政策論および政策ルール論に関する文献の収集とサーベイを行った。特に今年度はB. Bernanke et al.(Inflation Targeting, 1999)、J.B. Taylor(Monetary Policy Rules, 1999)といった基本的な文献を中心に検討した。こういった政策論の背景となっているニューケインジアンの金融論、マクロ経済学についても、検討を行った。さらに、ポストケインジアンによる批判的た検討を行っている文献に関してもサーベイを行い、重要な論点の整理を試みた。第二に、平成22年度以降予定している実証分析のための準備を行った。具体的には計量分析ソフトEViews7を購入し、また、計量分析に関する文献も購入し、分析手法の習得に努めている。第三に、インフレーション目標政策の成果を検討するために、主要な導入国と比較対象の非導入国の基本的なマクロ経済データの収集と予備的な検討を行った。この点に関しては、SourceOECD等を利用し、作業している。第四に、インフレーション目標政策論と政策ルールに関する政治経済学的な検討を行った。このに関しては、インフレーション目標政策論と政策ルール論、さらに基礎となるいおゆるNew IS-LMモデルの基本的な主張を検討した上で、主に政治経済学な面から批判的検討を展開した論文「金融政策論の批判的検討の試み-インフレーション目標政策論と政策ルール論-」を作成した。
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