研究概要 |
研究の目的は,国内外株式市場の代表的株価指数について、合理的バブルが発生していたかどうか時系列解析の手法を用いて検証することにある。昨年度までは,同研究課題名で,スタートアップで研究費をいただき,TOPIXにより1990年初頭に崩壊した,株式・土地バブルにおいて,合理的バブルが検出できることを発見した。そしてその発生期間,景気循環と整合性がとれていることを確認し,ディスカッションペーパーにまとめている 本年度は 1) sup型,inf型,range型,rolling型ADF検定統計量の検出力の評価を行い,sup型のADF検定統計量の検出力が高いことをシミュレーション実験より求めた.この検出力は,様々な想定される合理的バブルのDGPにより確認した。この成果はディスカッションペーパーにまとめている. 2) (実際には構造変化が起こっているのであろうが、理論上の簡単化のため)構造変化が起きていないと仮定して,自己回帰モデルの誤差項の仮定を弱め,未知の平均と初期値をもつモデルの推定問題を考えた。一部は,冬に広島経済大学の研究集会と関西計量研究集会で発表している。 3) かばん検定統計量によるモデルのあてはまりの良さを調べる検定の理論構築を行った。ここでモデルは、2)と同様のものである. 4) 2)と3)の結果をTOPIXに当てはめて検証したところ,モデルのあてはまりはよいものの、バブル期とそれ以前とで、分散不均一の構造変化が認められるという結果が得られた。これは今後の研究を発展させる意味でよい課題となった。
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