研究課題/領域番号 |
21730175
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
片山 直也 関西大学, 経済学部, 准教授 (80452720)
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キーワード | Weak VAR model / Portmanteau test / Residual autocorrelation / Goodness-of-fit test / Diagnostic checking |
研究概要 |
研究の目的は、国内外株式市場の代表的株価指数について、合理的バブルが発生していたかどうか時系列解析の手法を用いて検証することにある。すでに合理的バブルの検証をTOPIXで行ったので、学術論文としてまとめるとともに、より高度な仮定(weakw hite noise, WWNと以下略。ならびに構造変化)の解決が、この研究テーマの追求となる。そのため、これら仮定の下での自己回帰(AR)モデルの推定問題、モデルの識別性の問題、予測問題、モデルの当てはまりの良さの検定統計量の構築、AR(1)パラメータの検定の問題、誤差項がIIDではなくWWNの場合の問題への拡張、が最新の研究目的となる。 平成23年度は、昨年度から引き続いた多次元のARモデルにおいて誤差項がWWNである場合の仮説検定問題の理論・実用上の検証に加え、多次元の構造的自己回帰移動平均(ARMA)モデルにまでモデルを拡張した。このモデルも誤差項がWWNで議論している。このモデルは、多次元モデルにしばしばおこる母数が増えすぎて実用上推定困難となる問題を解決するために母数に非線形制約を与えたモデルでかなりの時系列モデルを含んでいる。この拡張した結果はワーキングペーパーとしてまとめ、すでに多次元のARモデルの場合で投稿していた論文の修正版として再提出した。幸い年度末に国際誌に採択されたので、来年度には発表される予定である。 また、この研究の続きとして、M検定への拡張や、(検定統計量の構築の実用上困難とされる)ある確率ベクトルのロングランバリアンスを推定しないですむ検定統計量の開発を思いついたので、来年度にかけて実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年に1本程度査読付きの国際誌に掲載されれば(1)とカウントしてよい(自分なりの最良点)と思っていたが、2,3年に1本程度が自分のペースのようなので(2)とした。原因は職場の異動による環境適応時間が必要だったことが大きい。しかし、コンスタントに最新の研究のアイデアが常に浮かび、結果に結びついているのでその点は評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
自分がやっている研究は本や論文やデータが入手でき、PCとノートがあれば事足りる学問なので、さほど研究資金は必要ないように思う。研究費もEメールなど廉価な情報交換機気がある中、さほど旅費も必要ない。なので必要なのは時間をなるべく割いて地道な研究を進めること。また、シミュレーションのプログラムなど(失礼ながら)誰でもできる作業を共同研究者に回すなどの工夫が必要だと思うが、1から10まで自分でやりたい主義なので思いのほか時間がかかっている。
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