研究概要 |
日々のボラティリティの尺度として、積分ボラティリティ(integrated volatility,IV)がある。分単位の金融データから、マイクロストラクチャー・ノイズを取り除き、IVの一致推定量を求める方法が様々に提案されてきた。ただ、IVの一致推定値として得られた実現ボラティリティ(realized volatility,RV)にも誤差が存在し、これはRV誤差といわれる。この論文では、モンテカルロ実験を行い、RV誤差の影響を分析した。その結果、次の3点が明らかになった、(1)小さな誤差であっても、モデルの推定にはバイアスが生じる。(2)RVの一致推定量が使用された場合、ボラティリティの一期先予測値への影響はほとんどない。(3)予測モデルに関して、既存の決定係数の修正では不十分で、さらなる修正が必要である。この実験結果に基づき、決定係数の新たな修正方法を提案した。モンテカルロ実験と、S&P 500株価指数の実証結果から、新たな修正方法の効果が検証された。
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