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2011 年度 実績報告書

パテントプールにおける利得配分問題:提携形成、研究開発投資、効率性

研究課題

研究課題/領域番号 21730183
研究機関筑波大学

研究代表者

渡邊 直樹  筑波大学, システム情報系, 准教授 (20378954)

キーワード経済理論 / 経済政策 / 経済実験 / ゲーム理論 / 提携形成
研究概要

平成23年度の主な成果は次の通りである。
(1)特許ゲームにおける解概念の漸近的性質に関する論文(Kishimoto, Watanabe, and Muto 2011)が査読付き国際専門誌Mathematical Social Sciencesから刊行された。(2)企業数が有限である場合の交渉解と特許権者の利得を最大にするライセンス数に関する考察(Kishimoto and Watanabe, 2012)を論文に纏めた。(3)入札や交渉によるライセンスの定性的性質を調べるための被験者実験を実施した。
(1)は前年度までの研究成果である。(2)では、解概念としてカーネルを用いた。特許ゲームのカーネルが一点集合になることが証明され、それにより、特許権者の利得を最大にするライセンス数を導出することが可能になった。これまでの研究では、解概念として交渉集合を用いてきた。交渉集合はカーネルを含む交渉妥結点の集合であるが、必ずしも一点集合にはならないため、より複雑な分析対象であるパテントプールにおける利得配分問題に対する分析結果が不明確になっていた。(2)の結果により、パテントプールの分析において明確な結果を導出できる可能性が高まった。(3)では、特許ゲームの分析における技術入札や交渉を取り扱い、それらの仕組みの効率性に関する知見を得た。
現在進行中であるが、特許ゲームの解概念を安定集合とした時の分析結果が纏まりつつある(Hirai and Watanabe,2012)。まだ電子ファイルとしても公開はしていないが、結果は非常に一般的であり、その非空性が確認されたばかりでなく、他の交渉解と同じく、非協力ゲームに基づくメカニズムが導く結果に漸近する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

特許ゲームでの結果は順調に出ており、査読付き国際専門誌からの論文の刊行、それへの投稿も進んでいる。しかし、パテントプールそのものの分析結果はまだ論文に纏めるには至っていない。特許ゲームでは何社の企業にどれだけの特許料で技術をライセンスするかという問題を取り扱う。よって、そこでの分析が進んでいるということは、特許権者の集まりであるパテントプールの分析の基礎となるものである。今年度はパテントプールそのものの分析結果を論文に纏めたい。

今後の研究の推進方策

パテントプールにおける利得配分問題は、ライセンスを受ける側の企業によって構成される寡占市場を考慮するだけでなく、特許権者による提携形成問題でもあるので、協力ゲームの応用としてはかなり複雑なものである。この点を克服し、tractableな理論モデルを構築することが重要であり、今後の研究課題である。また、理論だけでなく、被験者実験を通して、理論モデルが提示するパテントプールの仕組みがうまく機能するか否かも検証する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Bargaining Outcomes in Patent Licensing2011

    • 著者名/発表者名
      Kishimoto, Watanabe, Muto
    • 雑誌名

      Mathematical Social Sciences

      巻: 61 ページ: 114-123

    • DOI

      10.1016/j.mathsocsci.2010.12.001

    • 査読あり
  • [備考] Kishimoto and Watanabe (2012) "Tokyo Tech, Social Engineering, DP 2012-01

    • URL

      http://infoshako.sk.tsukuba.ac.jp/~naoki50/index_j.html

  • [備考]

    • URL

      http://www.soc.titech.ac.jp/~library/discuss/text/2012/dD2012-01.pdf

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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