研究概要 |
本研究は5テーマからなり、各々の目的を1.政府系金融機関融資、信用保証協会保証の創業企業の成長への効果の有無を実証的に明らかにする、2.メインバンクと非メインバンクの中小企業向け融資金利の決定の差異の要因を実証的に明らかにする、3.金融規制監督体系の銀行貸出行動への影響について実証的に明らかにする、4.自己資本比率の信用金庫、信用組合の貸出行動への影響について実証的に明らかにする、5.預金保険の公正料率を数値計算により推計し、銀行のリスクテイクについて明らかにする、とした。このうち、4、5について研究成果を論文にまとめた。2については、経済産業研究所実施の企業向けアンケートで調査された企業の借入契約条件等、及び、企業への貸し手銀行のデータを用い、新規借入に際し、メインバンク(借入額残高最大かつ借り手企業がメインバンクと認識している銀行)からのみ借り入れている場合、メインバンクに加え第2位の銀行(メインバンクでない銀行)からも借り入れている場合に比べ金利が高いことを明らかにした。(Nemoto et al, 2011)。5については、銀行が預金保険から得られるベネフィットを引き上げるようにリスクテイクをしモラルハザードが発生していること、このようなモラルハザードは、適切に設計された公的資金の注入により抑制できることを明らかにした。(Guizani and Watanabe, 2012)また、1に関連する研究として、アジア全域の銀行のデータを用い、政府系、外資系、国内民間の3所有形態の銀行を比較し、政府系銀行が3形態のなかでもっとも収益性も費用効率性も低いことを明らかにした。(Kariastanto and Watanabe, 2012) Nemoto, Tadanobu, Yoshiaki Ogura and Wako Watanabe, 2011," Estimating the Inside Bank Premium, "RIETI Discussion Paper Series 11-E-067. Guizani, Brahim and Wako Watanabe, 2012, "Public Capital, the Deposit Insuranceand the Risk-shifting Incentives : Evidence from the Regulatory Responses to the Financial Crisisin Japan," mimeo. Kariastanto, Bayu and Wako Watanabe, 2012, "Foreign Ently and Banking Effiency in Asia," mimeo.
|