本研究では、海外直接投資のタイプ(目的)に応じた、多国籍企業の立地選択要因を分析する。近年少しずつ直接投資のタイプに応じた比較が行われ始めているが、1980年代に提示された二つの伝統的な投資タイプに応じた分析しか行われていない。本研究では、2000年以降に新しく提示された投資タイプも含めた、海外直接投資に関する詳細な検証を行う。平成21年度の研究により、そのような包括的な検証は、投資タイプの数と投資先の数を同時に増やす必要があるため、分析に困難が生ずることが分かった。そこで、平成22年度は、①伝統的な二つの直接投資タイプを「同時」に扱った「立地選択要因分析」の実行および第一稿の完成、②プラットフォーム型の直接投資を加えた、一歩包括的な研究の実施を行った。平成23年度では、上記①の研究の修正(多重共線性の緩和)、②の研究の第一稿完成、及び③途上国向け直接投資の詳細な立地選択要因分析を行った。とくに③では、これまである特定の投資タイプに分析結果が合致しているかを検証してきたが、これらとは逆に、分析結果がどの投資タイプに合致しているかを調べている。平成24年度はこれら3つの研究論文の完成、そして学術誌への投稿を終えた。
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