本研究の目的は、少子高齢化の進行に付随したマクロ経済パフォーマンスの変化パターンを解明し、持続的経済成長に向けた政策的含意を導くことである。平成22年度は、人口高齢化を考慮した経済成長モデルの検討を重ね、その成果を第67回日本経済政策学会全国大会で報告した。本研究は、人口高齢化が進む状況下での長期的経済成長の見通しに重要な洞察を与えるものであり、示唆に富む政策的含意を示す。報告論文の改訂版は、日本経済政策学会の学会誌『経済政策ジャーナル』(第8巻第2号)への掲載が決定している。また、本論文に対して日本経済政策学会の学会賞学術賞が授与された。 実証研究の面では、全要素生産性(TFP)のトレンド推定のためのベイズ的アプローチを提案し、中国の産業別分析に適用した。分析の結果、第3次産業のTFPパフォーマンスが他産業のそれよりも相対的に低迷していることが明らかになった。これは、人口高齢化が進む中国において、第3次産業のTFP促進に資する政策デザインが重要な課題であることを示唆する。この研究成果は、国際学術誌Informationに掲載された。
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