研究課題
*本研究は、2000年以降とくに顕著となった中国の台頭が、東アジア地域、とくに東南アジア諸国(ASEAN加盟国)の貿易にどのような影響を及ぼしたのか、貿易データを用いて分析し、明らかにしようとするものである。*中国は、人口や国土面積とともに、経済的にもいまや「巨大」な国である。そのため、東南アジア諸国、なかでもとくにCLMVとして括られる経済開発の途上にある国々との経済関係については、一国対一国として分析していると、まさに激変の中にあるにもかかわらず、大国間の経済関係の中に埋もれてしまい、正当に評価されないとの懸念が生じてきた。そこで、本研究では中国との貿易を省別・地域別(税関の所在地別)に分けて検討した。*具体的には、GTI社のWorld Trade Atlasと国連のUN COMTRADEを用い、HSコード4桁分類に従い分析を行った。*たとえば、ベトナムとの間では、広西チワン族自治区の南寧(Nanning)との貿易が多い。2008年には、ベトナムからの輸入地域として1位(9.4億ドル、対ベトナム輸入全体の22%)、ベトナムへの輸出地域として2位(30.5億ドル、対ベトナム輸出全体の20%)である。この背景には、中国の中央・地方政府の交通インフラの整備等をてこにした積極的な対外戦略がある。*一方、東アジア地域全体では、中国の台頭と域内貿易(IT関連製品の生産の分業体制)の進展により、相対的にアメリカへの依存を弱め、地域として自立しつつあることも観察できた。*これらの成果については、日本国際経済学会第69回全国大会(2010年10月17日、大阪大学)にて発表を行った。
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中国の対外膨張と大メコン圏(GMS)・CLMV(末廣昭・大泉啓一郎・助川成也・布田功治・宮島良明)(東京大学社会科学研究所・現代中国研究拠点)
巻: 研究シリーズNo.7 ページ: 227-273
環太平洋ビジネス情報RIM(株式会社日本総合研究所)
巻: Vol.10, No.38 ページ: 30-49
http://www.econ-hgu.jp/master/50.html