研究概要 |
平成21年度に引き続き,ソ連・ロシアにおける人口移動=労働供給の変化と産業立地との同時性を鑑み政府主導による地域開発の限界と新たな展望を見いだすことを試みるため,近年制定されたロシアの情報公開法に基づき『ロシア国立経済文書館』で公開されるようになった「ソ連閣僚会議内部資料」を調査した。データ整理とその一次データに基づく計量分析とを行うことにより,旧ソ連における地域経済構造の変遷を,歴史的かつ定量的に明らかにすることを目的とするものであった。 平成22年度は,1897年ロシア帝国第一回(最終回)人口センサスの年齢別・男女別・地域別人口統計,同じく地域別の職業別人口統計データベースを作成し終えると共に,1926年ソビエト第一回人口センサスの年齢別・男女別・地域別人口統計と地域別の職業別人口統計データベースを完成させた。これは電子媒体で,近々に公開し広く利用可能なものとする予定である。人口統計の推計結果はInternational Council for Central and East European Studiesストックホルム大会で報告を行った。ロシア人口統計に関する研究は海外でも注目され,ロシア科学アカデミー地理学研究所主催のシンポジウム,そして大韓民国高麗大学主催のシンポジウムにおいて招待講演を行った。 帝政期データ・ソ連政府アーカイブ資料から作成した現行ロシア連邦領域の長期人口統計系列はGoogle社の大規模データアーカイブプロジェクト"Gapminder World"において,19世紀から現代までに渡るロシアの出生率のデータソースとして利用されている。
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