(1) データ・ベースの構築とモデルの検討 これまでに構築してきたデータ・ベースをもとに、エネルギーと農産物に関するものを中心に価格変動や取引量といった点でデータを更新・追加し、新しいデータ・ベースを作成した。分析ツールとなるモデルに関しては、既存の応用一般均衡モデルのサーベイを行い、今後、モデルに関して取り組むべき課題を明らかにした。これらにより、次年度以降に行われる個別具体的な政策シミュレーション分析の下準備を行った。 (2) 応用一般均衡モデルに関する包括的な解説書の刊行準備 応用一般均衡モデルの理論的枠組みの構築と内容の整理、プログラム上の運用、および、政策シミュレーションへの適用といった点について書籍として刊行する計画を立て、原稿とともにその出版計画書を出版社に送付した。査読者の意見をもとに若干の修正を施して、最終原稿を提出し、校正作業を行っているところである。これについては来年度6月ないし7月頃に刊行予定である。政策シミュレーションに用いる応用一般均衡モデルは大規模なモデルになりがちなために、当該論文や報告書中で十分な解説が必要であるが、現実には困難である。できる限り、専門家以外の人でも一定の理解が可能なように、解説する書籍として利用されることが期待できる。 (3) コメ自由化問題に関する政策分析の実施 日本のコメの自由化政策と、コメの不作問題の間の関係について、上記の応用一般均衡モデルを用いてモンテカルロ・シミュレーション分析を行ない、その内容を国際学会において口頭報告を行った。
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