研究課題
本研究では、交通サービスの供給に伴い排出される二酸化炭素を負の財と定義することにより環境負荷を考慮した生産効率性計測のための計量モデルを新たに開発し、鉄道と航空という複数の都市間交通機関の社会的生産効率性の比較分析を行ってきた。この分析の特徴は、共通の生産要素を用いて複数の産出物が結合生産される状況を叙述する生産関数を設定し、これら産出物のうち望ましくない産出物については非可処分性を仮定することで二酸化炭素の排出削減に伴う生産要素投入の増加の機会費用を生産関数の構造の中に明示的に考慮した上でこれをノンパラメトリックおよびパラメトリックな手法により推定した点である。これにより、投入および産出についての数量データのみから各交通サービス供給主体の社会的効率性を計測することが可能となった。平成23年度については、最終年度ということもあり、いままでに得られたこれらの研究成果を複数の論文としてまとめ、Singapore Economic Review、Transportation Research PartD : Transport and Environment、Environmental Economics and Policy Studiesといった国際学術雑誌に公刊するとともに、研究のなかから明らかになったノンパラメトリックな生産可能性曲線の推定に伴う非効率性の過小評価のバイアスについて考察した論文を国際学術雑誌に投稿した。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件)
Singapore Economic Review
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GRIPS Discussion Papers
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Transportation Research Part D : Transport and Environment
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A Handbook of Transport Economics(edited by Andre de Palma, Robin Lindsey, Emile Quinet, and Roger Vickerman)(Edward Elgar Publishing)
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