ヨーロッパの経済統合プロセスの深化により、財と資本の域内移動は自由化されその移動は活性化されたが、労働はほとんど移動しなかった。これにより、理論的な経済統合域内の均衡化が導き出されないこととなり、これまでにない経済成長過程を見せる国や国家間での不均衡が見られることがわかった。 特に、EUに加盟している27カ国の労働人口における産業構造を時系列でみると、2004年以降、強い力でサービス産業における労働人口の増加が起こっていることが確認された。また、ラトビア、リトアニア、ルーマニアでは、農業の労働人口が急激に減少し、工業の従事者が増加するよりもさらに強い増加がサービス産業で起こっていることがわかった。これは、Petty-Clarkの法則からすると、経済成長の過程を無視した展開であり、独立した市場を持つ一国内の経済では発生することがないものであったと考えられる。つまり、経済統合により、労働市場の流動性が少ないことは、発展途上国の産業構造に影響を与え、結果としてサービス産業への移行が加速することとなったことが発見できた。
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