本研究の課題は、「生態移民」政策に着目し、山西省山間部における実態調査から、その具体的な実施状況と環境保全に対する効果の有無を確認するとともに、地域住民に与えた社会・経済的影響について考察を行うことである。 具体的な研究方法については、本研究では、中国有数の条件不利地域である調査地域において、移民政策によって形成された「移民村」における農家調査を実施し、移民政策が地域住民に与えた影響を就業状況や家計の変化等から検討を行うことにある。 今年度は、研究最終年にあたり、すでに実施した調査のとりまとめと追加調査、資料収集等、論文作成、成果報告等を行う予定であった。研究初年度、2年目に実施した調査結果のとりまとめはほぼ完了し、論文作成を進めた。日本国内で収集可能な調査地域に関する統計や「生態移民」に関する書籍は予定通り収集し、分析を進めることができたといえる。 9月に追加調査を予定していたが、諸事情により実施できなかった。追加調査では、農家調査を実施した地域を再度訪問し、現地においてヒアリングや統計データの補充等を行う予定であった。追加調査は実施できなかったものの、論文作成に必要な統計データはほぼ入手していることから、今後、論文の完成および成果報告など、引き続き積極的に進めていく予定である。
|