研究課題
本研究は、国内外において研究蓄積が乏しいロシアの住宅市場研究に取り組む先駆的研究である。本年度の研究目的は、(1)ロシアで住宅市場の発展が著しいモスクワ、ペテルブルグ等の大都市と、ロシア極東・沿海地方等などの地方都市を採り上げながら、ロシアの住宅市場の発展と地方都市への波及過程並びに、2008年金融危機後の住宅市場動向を明らかにすること、(2)ロシア住宅部門の市場化の進展と2004年からの政府の住宅政策とが、住民の居住環境にどのような変化をもたらしているのかを明らかにすることであった。その成果は、ロシア現地調査実施とともに、5本の論文および2回の学会等の研究発表として結実させた。2008年の金融危機がロシアの住宅市場価格の急降下をもたらしたものの、再び回復基調にあることを論文とレポートとして発表した。さらに、ロシア全土において住宅政策目標値を上回る居住環境の改善を達成した家計は約半分以下しかなく、住宅市場発展の地方都市への波及が小さいことを長期家計調査RLMSに基づいて分析し、ロシア住宅政策の修正の必要性を指摘した。その成果を、学会発表、ワーキングペーパーおよび査読論文として結実させ、自らが代表となって編纂した住宅研究特集号としても学術雑誌に掲載された。次に、研究内容を企業福利厚生の観点へと拡大させ、かつてソ連企業労務管理上、重要な位置を占めていた社宅が、地方の住宅市場の発展が未熟であることから、依然現在の企業労務管理において重要であることを指摘し、その研究成果を国際コンファレンス発表と報告論文として結実させた。上記の成果に加え、2012年中に書籍((1)分担執筆及び(2)単著)として刊行される論文として、(1)ロシア極東地域の住宅事情について、並びに(2)ロシア都市住宅事情の特徴について、本研究期間中に原稿提出・査読を経て刊行許諾を得ており、本研究成果の一部がさらに発表される予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
京都大学経済研究所平成23年度プロジェクト研究「会社法定機関と人事労務管理制度の経済分析:ロシア株式会社の実証研究」主催国際コンファレンス(2011年12月9日-10日)「ロシア企業研究のいま」報告書
ページ: 86-102
新潟大学経済学部Working Paper Series, No.141, April 2011
巻: 141 ページ: 1-14
新潟大学経済学部Working Paper Series, No.143,June 2011
巻: 143 ページ: 1-21
三菱東京UFJ銀行グループ会員用ウェブサイトMUFG BizBuddy2011年12月7日付掲載、ユーラシア研究所2012年1月11日付掲載(一般公開)(http://yuken-jp.com/report/2012/01/11/)
『ロシア・ユーラシアの経済と社会』2011年12月号
巻: 952 ページ: 2-22
http://yuken-jp.com/report/2012/01/11/