本年度交付を受けた科学研究費において申請者は以下のような研究をおこない、成果を得ている。 長期データの収集、整理を行った。具体的には半世紀以上の計画経済期を含む中国の地域別集計データの収集、整理を行い、のちの実証分析の準備を行った。特に生産性計測のためのデータの実質化においては、当時の経済状況を考慮した複数種類のデフレータを作成し、それによってデータを実質化するなど計測結果の頑健性確保のための工夫をおこなった。 計画経済期の企業の原材料調達や生産計画に関する文献収集をおこなった。これは(疑似)市場的取引の現在に至る経緯の把握、その浸透の度合いの把握のためにおこなわれた。少数ながら企業(当時の経験者)へのヒアリング調査もおこない、特に計画経済期末期から改革開放期初期の企業経営の実態把握を試みた。 収集・整理されたデータを用いて生産性の計測を行い、長期の生産性推移の把握を試みた。これより、生産性は長期的な傾向としては計画経済期であっても衰退傾向にはないことが示された。引き続き分析を深めていく。 企業数の増加と企業規模の拡大のいずれがより経済発展に貢献するかについて、長期にわたる分析を行った。これにより、計画経済期と改革開放期では傾向が異なることが明らかにされた。 これらの分析・考察結果は投稿論文としてまとめられ投稿され、査読を経て掲載が決定された。 改革開放期の初期、中期に当たる80年代、90年代の企業間関係(取引)の動向について実証分析をおこなった。この成果は投稿論文としてまとめられ、学術雑誌(査読あり)に投稿準備中である。
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