研究課題
本年度交付を受けた科学研究費において申請者は以下のような研究を行い、成果を得た。まず、昨年度、一昨年度から継続的に行っている現地における現地サーベイ、及び実証分析から得られた内容のとりまとめを行った。その内容の一部は学会等で報告をし、また論文としてまとめ投稿した。また、昨年度より引き続き収集されたデータを順次用いて実証分析を行った。また同時に中国現地においてヒアリング調査や資料収集も継続して行なった。現地サーベイによって得られた内容をまとめ、それを反映させながら実証分析における仮説の改良を行いながら分析を継続した。この分析結果は逐次取りまとめを行うと共に、現在、報告・投稿準備中である。そして、上述の作業の具体的内容と、作業を通じて得られた分析結果は次の通りである。まず、昨年度より継続して行っている計画経済期中国における技術進歩の速度とその特徴についての実証分析を、複数種類のデータを用いて検証するとともに、検証方法をいくつか用いて行った。これにより、一時的なショックによる生産性の低下を除いて、技術進歩が計画経済中国においても一定程度見られたこと、及び、資源賦存状況に合致した技術進歩の特徴を計画経済中国は持っていたという分析結果の頑健性・妥当性について確認された。資源配分の効率性についても、得られたデータを用いて実証分析を継続して行った。本年度は、社会全体として効率的な資源配分が計画経済期において行われていたのか否かを分析するために、改革開放期を含めて長期的な資源配分の傾向を明らかにする作業を、特に資金の効率的配分に注目しながら進めて行った。これにより資金配分が計画経済中国においてより効率的であることが、後の改革開放期における経済発展の成功可否を左右する重要な要素となっていることがうかがえた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
アジア経済
巻: Vol.52, No.10 ページ: 1-35
Journal of Chinese Economics and Business Studies
巻: Vol.9 ページ: 217-238
10.1080/14765284.2011.592351