本研究の目的は、中国の株式市場の価格形成について分析し、金融政策が株価に影響を及ぼす経路を明らかにし、分析結果に基づき、中国の株式市場に対する有効な金融政策を考察することにある。 本年度において、データ収集の作業を終了し、入手できないデータに対して、それに代わる推計方法を用いた。そして、完成したデータベースで、金融政策が株価や株式収益率に与える影響を、VARモデルなどの方法で分析し、金融成果の効果を分析した。さらに、リーマンショックが起こった直後に、中国の株価がどのように動いたのか、金融政策がどのように変更されたのか、世界金融危機の中国株価に対する影響を明らかにするため、中国に出向き、ヒアリング調査と資料の収集を行い、現地の関係者と意見を交換した。世界金融危機の中国の株価に対する影響、および中国の株価と世界主要株式市場の連関に対する影響、中国の金融政策へのインプリケーションなどを考察した。また、本研究について、日本、中国だけではなく、アメリカ、ヨーロッパ(ノルウェー、イギリス)、韓国などで行われた学会や研究会などで、国内外の研究者・専門家・実務家と意見交換をした。 本年度において、研究成果の一部を英文の論文(張(2012))、Working Paper(張(2011))にまとめ、その一部を中国経済学会全国大会(2011.6.19)や7th Asia-Pacific Economic Association Annual Conference(2011.6.25)などで報告し、多くの研究者・専門家から意見やコメントをいただいた。現在、最終の研究成果に関する英文の論文の加筆修正を行っており、近いうちにジャーナル誌に投稿する予定である。
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