研究課題/領域番号 |
21730236
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福味 敦 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (20379465)
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キーワード | 新興市場 / 財政のサイクリカリティ / ガバナンス |
研究概要 |
本研究は新興市場におけるマクロ経済ショックが貧困層に及ぼす影響を、財政運営やガバナンスとの関連から分析することを目的としている。四年計画の三年目にあたる今年度は主に、インド・ブラジルの中央・州政府を対象に、景気変動と財政運営の関係について実証分析を行った。今年度はとくに予定より遅れ気味であったブラジルのマクロ経済、政治、社会統計の入手と加工、分析に注力してきた。暫定的な結果ではあるが、これまでの分析結果に基づけばインド・ブラジル両国ともに、(1)中央・州政府の財政運営は、マクロ経済ショックを緩和するカウンターサイクリカルな傾向を帯びていないこと、(2)中央と州政府の間に財政運営上の大きな差異は見られないこと、が明らかになった。またインドについては、州議会議員選挙が景気変動へ適切な対応をとる上で悪影響を及ぼしていることが確認された。 以上の結果は、インド・ブラジル両国は、中央政府・州政府ともに、ボラティリティの抑制と貧困・格差の緩和という観点からは、必ずしも好ましい財政運営を行っていない傾向があることを示唆している。中央のみならず州レベルでこうした分析を行った研究は、おそらくこれまでのところ行われておらず、したがって本研究の重要な貢献となり得る。またインドについては、選挙が財政スタンスに歪みをもたらしていることが明らかにされたが、この結果についても、本研究のポイントの一つとして挙げることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インドの個別分析については、海外ジャーナルではないものの、国内学会誌に受理され、一定の成果が得られた。ただし本来ならば、インド・ブラジルの比較研究を本年度中までに終了し、discussion paperにまとめる必要があった。ブラジル分析について、財政・政治制度の理解に予想以上に時間を要し、遅延したため、現状では二国の個別分析に留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年にあたる24年度は、インド・ブラジルの財政・政治制度研究をさらに進め、両国の制度的な相違を踏まえた上で、比較研究を行う。また、未だ実現していないブラジル出張を実施、ブラジリア大学・サンパウロ大学のマクロ経済研究者との議論を通じて、さらなる精緻化を目指す予定である。
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