中国経済は、国有企業改革の結果、公有制が主体となっている。しかし公有制の主体を社会主義の根幹とするのには疑問がある。労働者主権の上の公有制が本来の社会主義であるのに、改革で多数の労働者が職場を追われ、市場経済化で格差も拡大しているからである。 近年労働契約法、労働争議調停法が制定され、労働者も重視した「和諧社会」(調和のとれた社会)が強調されているが、公有制の主体というマクロ的側面だけでなく、企業のあり方や働き方というミクロ的側面の検討が必要である。 そこで大手国有家電企業等の分配の実態を検証し、改革によって労働者やその家族の生活を保障する「単位」から、企業へと変化していることを明らかにし、さらに福利厚生費用、とりわけ法定福利費用の高さから、政府による社会保障の制度化が進んでいることも示した。
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