平成21年度には、各種の統計調査から労働市場に関するデータを収集し、男女別にみた就業行動を分析するためのデータベースの構築に従事した。過去に構築した労働市場データベースの更新及び拡充を進めた。具体的には、男女別、年齢5歳階級別の労働力人口及び男女別、年齢5歳階級別、学歴別などの賃金構造並びに男女別、年齢階級別、世帯別などの生活時間などのデーターベースである。 上記のデータベースから得られた知見の一部は、一般社会に広く還元するために「産経研フォーラム」において発表した。日本の労働市場の特徴である高齢者の高い就業率と失業率に関する特徴、少子化が進む中で共働き世帯が増加する一方で保育所が不足していること、出生コーホートでみる限り女性の若い世代ほど労働力率は高くなる一方で短時間労働者の割合が増加していること、一般労働者と短時間労働者との間で賃金決定システムが異なることなどをとりあげた。 現在は「労働力調査」から就業と失業のフローデータを入手し、男女別にフロー分析を進めるためのデータベースの作成および整理に着手している。本研究課題にある男女の就業行動を解明する上で、フローデータによる分析は基礎となる。しかし、現時点では年齢階級でみたフローデータベースの作成は未完成であり、その完成を目指すことが次年度以降の課題である。
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