平成22年度には、各種の統計調査から労働市場に関するデータを引き続き収集して、就業行動を分析するための男女別データベースを構築した。具体的には、男女別、年齢別、学歴別、産業別などの労働力人口構造及び賃金構造のデータベースである。 上記のデータベースの作成を通じて、男女の行動の相違を検討した。その検討から得られた知見の一部は、雑誌『産経研フォーラム』において発表して一般社会に広く還元をはかった。男女間で昇進の違いが賃金格差の主たる要因であることを示して男女の賃金構造の比較、検討をした論文や、女性管理職を今後増やしていくために必要な施策について取り上げた論文や、非正社員の増加の背景について分析して男女の就業行動の違いについて取り上げた論文など、男女別にみた就業構造及び賃金構造の分析を展開した。 昨年度に引き続き、総務省統計局「労働力調査」から就業と失業のフローデータを入手して、男女別にフロー分析を進めるためのデータベースの作成および整理に着手した。本研究課題にある男女の就業行動を解明する上で、フローデータによる分析は欠かすことができない。しかし、年齢階級別にフローデータを算出するためには、まだ解決できない集計上の問題や技術的な点が存在しているため、その完成を目指して、理論モデルを推計することが次年度以降の課題である。
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