研究概要 |
環境問題に関する自発的参加と配分の効率性に関する論文"A Unit-by-Unit Solution for Global_Externalities with Voluntary Participation"(単著)を、日本経済学会春季大会(千葉大学)において発表した。この論文では、社会構成員に参加(協力)強制力がないもとで、自発的参加と結果配分の効率性を満たすメカニズムの存在を示した。また、論文"A Lidahl Solution to International Emissions Trading"(単著)においては、大気汚染が大域的外部性(global externality)を伴い、各国が排出権取引を用いるとき、総汚染レベルと排出権の分配に関する効率性と全員一致可決を保障するメカニズムを考察し、配分の効率性・分配の公平性・費用負担メカニズムの分権的遂行可能性など、多くの問題を考察した。この論文はThe 66th Congress of the International Institute of Public Finance(Uppsala University)、日本財政学会第67回大会(滋賀大学、招待講演)で発表された。また、論文“Strategic Voting on Envirnmental Policy Making:The Case for "Political Race to the Top"”(寺井公子氏との共著)においては、環境政策の形成問題を、第1ステージで関係各国の政策決定者の選出、第2ステージで選出された政策決定者による国際的相互依存の中での政策形成という二段階ゲームで定式化し,既存文献とは異なり、背景の環境問題のタイプ次第では、非協力的な状況下でも環境保全努力のインセンティブを持つ政治家が選出され、環境問題の改善が政治的に可能であることを示した。この論文はMicroeconomics Workshop(東京大学)、Political Economy of Institutions and Expectations II(GLOPE-II International Symposium) (早稲田大学)、東北大学現代経済学研究会(東北大学)で発表された。これらの発表においては、討論者からの高い評価と参加者からの有意義なコメントをいただいた。また、"A Voluntary Participation Game through a Unit-by-Unit Cost Share Mechanism of a Non-Excludable Public Good"(篠原隆介氏との共著)を、査読付学術誌に投稿中である(査読者の指示に従い改訂第一稿を提出済み)。
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