本年度の研究は、企業統治に関する研究のサーベイ活動と、企業統治に関する実証分析の2点で主に構成される。 1点目のサーベイ活動は、以下のようにまとめられる。企業統治全般に関するサーベイ活動を行うために、昨年度ならびに本年度に国内外の関連する学会に出張して最新の研究成果の収集を行ってきた。その成果の一つとして、既存のサーベイ活動をまとめた論文を、「経営者報酬と企業パフォーマンスに関するサーベイ」という形で、証券アナリストジャーナル第46巻5-14頁において出版を行った。 2点目の企業統治に関する実証分析は、実証分析のためのデータベース構築作業と実証分析とその改善の2段階を踏んで行っている。まず、企業統治の実証分析に関しては、2010年度のNikkei Cges Databaseと従来まで使用していた2009年度までのデータ並びにNikkei Needs財務データベースとのマッチングを行った。企業統治に関しては、特に金融業において、非金融業との相違が大きいことから、非金融業と金融業を分けた形でのデータ収集ならびにデータベース化を行う必要があり、そのための作業をそれぞれ独立して行った。 また、従来までに行っている実証分析結果を改善して論文の完成度を高めるために、昨年度ならびに本年度の実証研究において明らかになっていることをいくつかの最初段階の論文としてまとめた。これらの論文の再検証を行うため、国内外の学会・ワークショップでの報告を行い、論文の改善を行うための有益なコメントを得ることができた。
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