ブル・ベア市場の持続期間に注目して分析した。まず、過去の研究で区別された、東京証券取引所のブル・ベア市場が続く月の長さのデータに存在する特徴を分析した。具体的には、持続期間の基本統計量やヒストグラムで特徴を確認した。ブル市場と比較すると、ベア市場の持続期間は平均も分散も低い。またヒストグラムで確認すると、ベア市場の持続期間はある程度の期間にまとまっている。これらによると、ベア市場の持続期間のモデル化が可能であると示唆される。 続いて、持続期間モデルを推定し、推定されたパラメータの値を判断材料として、ある一定の持続期間が過ぎたときに、その市場状態がまだ続く確率と、逆にその月にその市場状態が終わる確率を計算した。この結果、ベア市場が続く確率は持続期間が長くなるにつれて低下し、持続期間が20ヶ月まで長くなると0.502、持続期間21ヶ月で0.457と、50%ほどになることが分かった。持続期間がさらに長くなると、この確率はさらに低下し、40ヶ月でほぼゼロになることが分かった。一方、ブル市場の持続期間モデルを推定したところ、パラメータは有意ではない。高度成長期やバブル経済等の特別に長い持続期間を除いてモデルを推定しても、やはりパラメータは有意ではなかった。ベア市場の持続期間だけがモデル化できるという結果は、統計量等で確認した結果と矛盾しないものである。 これらのこの研究成果をまとめた論文「ブル市場・ベア市場持続期間の統計分析」は2011年に、『立教ビジネスレビュー』に掲載予定である。 さらに、金利が変化することと、ブル市場からベア市場へ(あるいは逆へ)市場局面が変化することとの関係を調べた。これらのデータの相関はあるものの、必ずしも強くないことが示された。
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